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遺言書がすべてではない! 知っておきたい『遺留分侵害額請求』

2020.10.05 | スタッフBLOG

 父親が残した遺言書に「子どもに財産を全て相続させる」と書かれていた場合、配偶者が財産を相続することはできないようにも思えます。しかし、子どもが認めるときは、遺言書のとおりに遺産分割する必要はありません。では、子どもが合意しないときは、配偶者は遺産を受け取ることはできないのでしょうか?今回は、法定相続人にある『遺留分』について解説していきます。

 

【法定相続人の相続権利を助ける相続財産の一定割合請求】
民法では、法定相続人に一定割合の相続権を認めています。しかし冒頭のケースのように「子どもに全ての財産を」という遺言書があり、遺産分割協議でほかの相続人との話し合いも困難な場合は、配偶者は全く財産を受け取れないことになってしまいます。
 このような状況を防ぐために、兄弟姉妹以外の法定相続人は『遺留分』として相続財産の一定割合を請求する『遺留分侵害額請求権』を行使することができます。遺留分侵害額請求権に認められる割合は、法定相続割合を基本に決まっています。遺留分の計算には2段階の割合があり、まずはどんなケースにも認められる『総体的遺留分』を計算します。その後、それぞれの相続人に認められる『個別的遺留分』を計算します。その総体的遺留分に各相続人の法定相続分をかけ算したものが、『遺留分侵害額請求権の範囲』となります。
 

例えば配偶者が2分の1の法定相続分を持っている場合には、総体的遺留分2分の1×配偶者の法定相続分2分の1=4分の1の遺留分が認められます。
〈例:配偶者と子ども2名の場合〉
●法定相続割合
 配偶者が2分の1、子どもがそれぞれ4分の1
●遺留分侵害額請求権の範囲 
 配偶者が4分の1、子どもがそれぞれ8分の1
〈例:配偶者と被相続人の親2名の場合〉
●法定相続割合
 配偶者が3分の2、親2名がそれぞれ6分の1
●遺留分侵害額請求権の範囲
 配偶者が3分の1、親2名がそれぞれ12分の1

 

【民法改正により共有財産の相続が金銭債権での請求も可能に】
 従来の『遺留分減殺請求』には、1つの大きな問題がありました。相続財産が不動産など分けられないものである場合に、ほかの相続人と共有になってしまうことです。共有財産の活用や処分は、相続人全員の合意が必要となってきます。そのため、請求権を行使して財産を相続したとしても、うまく活用できないという問題がありました。
 しかし2019年7月に施行された改正民法で、相続財産が預金債権や不動産などのどのような財産であっても、遺留分を『金銭債権』として請求できることになりました。この改正により、相続財産が不動産だけだったとしても、その不動産の評価額に応じた金銭を遺留分として請求できます。
 相続が発生した際は、遺留分の侵害額請求権があることを念頭に、落ち着いて対処しましょう。

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